事業主からの費用徴収

<更新26年10月20日>

  • 費用徴収とは・・・労災保険給付を受けたあと一定の要件に該当するときに、事業主又は不正受給者に、労災保険の費用の全部/一部を負担してもらうという制度のことです。
  • 事業主からの費用徴収の対象になるケースは以下のとおりです。
1.労働保険の加入手続きをしてなかったとき、業務災害/通勤災害が発生したケース

(1)行政機関からの指導等を受けたのに加入手続きをとらなかったときに、業務災害/通勤災害が発生した場合

  • 「故意」に労働保険加入手続きを行わなかったとして、当該災害に関して支給された保険給付額の100%を事業主から徴収します。


​(2)行政機関からの指導等は受けていないが、労働者を雇用してから1年経過しても加入手続きをとらなかったときに、業務災害/通勤災害が発生した場合

  • 「重大な過失」により手続を行わなかったとして、当該災害に関して支給された保険給付額の40%を事業主から徴収します。  
2.労災保険料の滞納期間中に業務災害/通勤災害が発生したケース
  • 当該災害に関して支給された保険給付額の最大40%を事業主から徴収​します。
3.事業主の「故意」又は「重大な過失」により業務災害が発生したケース
  • 当該災害に関して支給された保険給付額の30%を事業主から徴収​します。

<補足>

  • 事業主の「故意」又は「重大な過失」により業務災害が発生したときとは、事業主等が次の(1)~(3)のいずれかに該当したため事故が発生したケースをいいます。

(1) 法令に、災害防止のための直接的かつ具体的な措置が規定されている場合に、事業主が当該規定に明白に違反したため、事故を発生したと認められるとき

(2) 法令に危害防止のための直接的措置が規定されているが、その規定する措置が具体性に欠けている場合に、事業主が監督行政庁により具体的措置について指示を受けたにもかかわらず、その指示を講ずることを怠ったために事故を発生させたと認められるとき

(3) 法令に危害防止のための措置が規定されていないが、事故発生の危険が明白かつ急迫であるため、事業主が監督行政庁により直接的かつ付帯的な措置について指示を受けたにもかかわらず、その措置を講ずることを怠ったために事故を発生させたと認められるとき

  • なお、故意/重大な過失のある事業主からの費用徴収は「業務災害」のみが対象であり、「通勤災害」は対象ではありません
  • これは、通勤災害は事業主の支配下で発生する災害でないため、事業主にその災害予防義務が課せられていないためです。
  • 1、2のケースにおいて、事業主からの費用徴収の対象となるのは、
      休業(補償)給付 障害(補償)給付 遺族(補償)給付 傷病(補償)年金 葬祭料(葬祭給付)のうち、療養開始後3年間に支給されるものですが、再発に係るものは除きます。
      なお、療養(補償)給付 介護(補償)給付 特別支給金は費用徴収の対象から除かれます。
     
  • 3のケースにおいて、事業主からの費用徴収の対象となるのは、
      休業補償給付 障害補償給付 遺族補償給付 傷病補償年金 葬祭料のうち、療養開始後3年間に支給されるものですが、再発に係るものは除きます。
     なお、 療養補償給付 介護補償給付 特別支給金は費用徴収の対象から除かれます。

 

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