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実務者・社労士のための 労災保険全般Q&Aプロ

  実務者の方や社労士の方から、実際に河社会保険労務士事務所へいただいた労災保険の全般に関するご質問を抜粋してご紹介します。
  ちょっとした細かい疑問とか、役所であまり教えてくれないこととか満載(予定)の、ディープでちょっとためになる「プロフェッショナルのためのQ&A集」です。


 

労災保険法と労働基準法の関係について教えてください。
<更新26年11月15日>

労災法は2本立て

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1-1  労災保険法は、2本立て

  労災保険は、右の図のように、2つの柱で成り立っています。

  一つは「労働基準法(使用者)による災害補償の代行」という役割の柱、もう一つは「社会保障(労災保険独自保障)」という役割の柱。

  これら労災保険の2つの役割を知ると、労災保険がより理解できると思います。

1-2  労災保険は、労基法上の災害補償を代行している

  労働基準法の第8章(災害補償)に「使用者の災害補償責任」が規定されています。

  労働基準法では、業務上の災害が発生したときは使用者に故意・過失がなくても、使用者は、労働者に、療養補償、休業補償、打切補償、障害補償、遺族補償、葬祭料という災害補償をしなくてなりません。
  この労働基準法に規定されている災害補償責任は、使用者による「個別」責任ということができます。

  しかし、使用者による災害補償は、使用者の経済事情によって確実に履行されない恐れがあります。
  そのため、労災保険法は、使用者による災害補償責任の履行を確実とするため、労働基準法と同じ昭和22年に制定されました。

  労災保険法は、政府を保険者、使用者を加入者、そして使用者に雇用される労働者を被保険者とする、強制加入の公営保険で、「個別」の災害補償を全事業主が「共同」で履行することを目的にしています。
  つまり、労災保険には、全事業主が共同で、労働基準法による使用者の個別責任を代行しているという役割があるのです。

  なお、労働基準法第84条に「労働基準法で規定している災害補償について、労災保険法に基づいた給付が行われるときは、使用者は災害補償責任を免れる」と規定されています。
  この規定によっても、労災保険法が労働基準法による災害補償責任を代行していることがわかります。

 

<根拠条文>
労働基準法 第8章

1-3  労災保険は、社会保障的な役割もある

  労災保険法が施行された昭和22年当時、労災保険法による災害補償の役割は、労働基準法の災害補償の代行だけでした。
  しかし、その後、労災保険制度は独自に発展し、労働基準法の災害補償水準を大きく超えていきます。

  ちなみに、労災保険法施行後の改正は、主なものだけでもざっと以下のものが挙げられます。

  • 昭和35年 労災年金制度新設
  • 昭和40年 本格的年金制度導入
  • 昭和44年 段階的な労災保険適用拡大化(昭和50年 ほぼ全面適用)
  • 昭和45年 年金額などの引き上げ
  • 昭和48年 通勤災害制度の新設
  • 昭和49年 特別支給金の新設
  • 昭和51年 労働福祉事業の拡充(未払賃金立替払事業の導入など)
  • 昭和55年 民事損害賠償と労災保険給付との調整規定の新設
  • 昭和61年 年金の給付基礎日額に関する最低限度額 最高限度額の導入
  • 平成2年 スライド制の改善
  • 平成7年 介護(補償)給付の創設
  • 平成12年 二次健康診断給付の創設・・・

  以上のように労災保険制度が充実することによって、労災保険による補償は労働基準法の災害補償水準を大きく超えていきます。これに伴い、労災保険の役割も、労働基準法の災害補償の代行に加えて、社会保障的性質が大きくなっていきました。

  そして、現在、労働災害における補償は、労災保険が中心となっています。
  そのため、
実務上、労働基準法による使用者の災害補償責任を意識するのは、休業補償給付が支給されない待期期間(3日間)ぐらいかもしれません。

1-4  労基法による災害補償を行ったら、労災保険請求はどうなる?

  労災保険には、労働基準法による使用者の災害補償の代行という役割があります。

  では、業務上の災害において、労働基準法による使用者の災害補償(本来補償)をし、労災保険(代行補償)請求しないことは可能なのでしょうか?

  

<労基法上の補償を履行すれば、労災請求しないことは可能>

  使用者が、病院の治療費を100%支払い(健康保険使用は不可)、休業補償も被災労働者に平均賃金の6割以上を必要な期間支払うなど、労働基準法に規定されている災害補償をきちんと履行した場合、労働基準監督署などへ労災保険の手続きをしなくても、労働基準法違反にはなりません。
  なぜなら、使用者は、労働基準法に規定されている災害補償をきちんと履行しているからです。

  ただし、労働者死傷病報告を提出しなければならない災害の場合は、労働基準監督署に労働者死傷病報告書を提出しないと、労働安全衛生法違反となります。
  逆に言えば、使用者が労働者死傷病報告を提出し、かつ、労働基準法に規定されている災害補償(治療費全額 休業補償平均賃金6割以上など)を必要な期間に対してきちんと履行した場合は、使用者が被災労働者に災害補償を行っているため、労災保険から給付を受けなくても法的に何の問題もないということになります。

  しかし、現在、労災保険の補償額は労働基準法に規定されている補償額を上回っていますから、労災保険の請求をしない場合は、実務上、労災保険の補償額と同額の補償をする必要があるといえます。
 

<参考>
労働者死傷病報告Q&A Q1 労働者死傷病報告は、労災事故が起きたとき、必ず労基署へ提出しなければならないのですか?

1-5  「労災かくし」でよくあるケース

   「労災かくし」とは、労働者死傷病報告を故意に提出しなかったり、虚偽の内容で提出する犯罪行為のことをいいます。

  「労災かくし」でよくあるのは、さまざまな理由のため、会社が労働基準監督署、元請、発注者などに労災事故を報告したくないという動機です。
  労災事故を隠したい会社は、とりあえず治療費や休業補償を被災労働者へ支払い、被災労働者に労災事故 負傷について口止めをします。そして、元請や発注者などへの必要な報告、労働基準監督署への労働者死傷病報告の提出と労災保険の請求をしません。

  しかし、この手の労災かくしは、すぐばれます。
  
たいがい、この手の労災かくしでは、最初こそ、会社から補償が充分支払われますが、期間が長引くとともに、会社からの補償がだんだん滞ってくるため、不信を感じた被災労働者が労働基準監督署に労災補償の相談をするからです。

 

  ちなみに、労災保険の請求人は、被災労働者です。
  
くわしくは「Q3 労災保険請求をするときは、誰が手続きをするのですか?」をご覧ください。

  したがって、たとえ会社が「(労働者が)労災請求するを認めない」と主張したとしても、被災労働者が労災保険請求をし、災害の事実を労働基準監督署が認定したら、被災労働者へ労災保険の給付が行われます。

  この場合、会社は、主張が認められないだけでなく、労働者死傷病報告を提出していないとして、労働基準監督署からこっぴどく叱られることになります。もちろん、必要な報告をしていなかった元請や発注者などからも同様です。
  このとき、被災労働者は、会社から被災労働者へ災害補償が行わなかった期間等について労災保険請求することになります。このため、会社は災害補償未払の労働基準法違反にはなりませんが、労働者死傷病報告は未提出なので、労働基準監督署に労働安全衛生法違反で書類送検される可能性があります。

  ちなみに、被災労働者へ支払われる労災保険の給付額は、通常の労災保険給付額から会社が支払った治療費や休業補償費を引いた額となります。労災補償が2重に支払われることはありませんし、被災労働者に支払った治療費や休業補償が会社に返還されることもありません。
 

  というわけで「労災かくし」は、結局バレて、叱られるは、出費は戻ってこないは、最悪 前科がついて、会社の経営に支障がでてくるは・・・で、ろくなことがありません。

  労災かくしは犯罪です。後々のことを考えて、正しい対応を取りましょう。
 

<参考>
労働者死傷病報告Q&A A1-4 死傷病報告を提出しないと・・・

 

 

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